「個人再生」に関するお役立ち情報
個人再生で再生委員がつかないケース
1 個人再生において再生委員がつく場合とつかない場合
個人再生を申立てると、個人再生委員が選任される場合がありますが、再生委員がつくか否かを決める明確な基準はないと考えられます。
裁判所によっては必ず再生委員を選任するという運用をしていることもありますし、債務者の方の状況などによって再生委員をつけるか否かを判断するという裁判所もあります。
以下、それぞれについて説明します。
2 必ず再生委員を選任するという運用をしている裁判所
裁判所によっては、個人再生が申立てられた場合、必ず再生委員を選任するという運用がなされている場合があります。
例えば、東京地方裁判所の本庁においてはその運用がなされているため、その管轄の区域にお住まいの方が個人再生を申立てる場合には、再生委員が選任されることを前提に、費用やスケジュールの見通しを立てておく必要があります。
また、それ以外にも、個人再生が申立てられた場合には必ず再生委員を選任するという運用をしている裁判所もあるという話もあります。
3 債務者の方の状況などによって再生委員をつけるか否かを判断する
実務上は、必ず個人再生委員を選任するという運用をしているような場合を除くと、多くの裁判所においては、再生委員が選任されるケースは多くないように感じられます。
債務者の方が個人再生申立てに至った経緯や、債務者の方の収入や支出の状況、債務者の方の財産の評価(清算価値の算定)などについては、裁判所が申立人(代理人がいる場合には代理人)に対してある程度確認をし、再生計画認可の判断をすることが一般的です。
そして、裁判所ではこれらの調査や確認が困難であるようなケースにおいては、再生委員が選任されることになります。
具体的には、債権者に貸金業者以外の者が含まれている場合や、預金通帳の入出金履歴において多額の現金の出入りがある場合、資産の内容が複雑で清算価値の算定が簡単ではない場合などが考えられます。
このような場合には、個人再生申立ての準備の段階から、再生委員が選任される可能性があることを念頭に置いて、費用やスケジュールを検討した方がよいといえます。
再生委員が選任される場合、個人再生委員の費用として予納金を裁判所に納めなければいけませんし、再生委員と面談を行う必要が生じるため、選任されない場合と比べると、費用と時間がかかることが考えられるからです。